負債額16億円強。「フラットヘッド」が民事再生法申請

アメカジ「フラットヘッド」が民事再生法申請 負債額は親会社と合わせて16億円強 | WWD JAPAN.com

 

8月末、どうしても気になるニュースが目に入った。

私、長野県長野市出身ということもあり地元にブランドであるフラットヘッドには少なからず思い入れがあっただけに、少々胸の痛くなる出来事でした。

 

初めて「フラットヘッド」という言葉を知り、目にしたのが中学~高校くらいだろうか。今からもう20年くらい前になるので、ほぼブランドの誕生のころくらいから知っていることになる。

 

フラッドヘッドといえば、やりすぎでは?というくらいに手間暇かけた作りこみと、糸や縫製まで拘りぬいたプロダクトはどう考えても少量生産しかできず、なんでも大量生産されがちな昨今とは全く逆行する世界観は非常に魅力的だった。

 

店舗に行けば、糸や縫い方、ミシンについてまで語られるスタッフの話は非常に面白く、時々帰省した際に地元のテレビ局の特集で田舎の工場の人たちに無理を言いながら商品を生産し、地方発世界を体現するブランド観は非常に愛着を掻き立てる思いを感じておりました。

 

特に、タイに旅行に行った際にはターミナル21のにほぼ日本と同じ価格帯でフラットヘッドのデニムが売られており、あんな高温多湿の地域で物価の安いタイでありながら結構売れてる実態を目の当たりにしたときにはとても新鮮な思いを抱いたものでした。

 

ただし、2015年の最高売り上げから4年。現行の売上高が約3分の2にして、負債が16億。最高益を記録した2015年5月期には4年後に民事再生法適用となることは予想だにしなかっただろうし、おそらく右肩上がりの成長曲線を描いていたはず。

 

あくまで結果論だが、フラットヘッドのいちファンとして今にして思えばちょうど2015年くらいから少しずつ気持ちが離れていった実感が個人的にはある。正直なところ、このブランド大丈夫だろうか?とうすうす感じていたので、上述の記事の件はショックではあったものの、あまり不思議に思わなかったというか。

 

せっかくの機会なので、ここ数年で感じていた違和感を記載してみる。

 

■所沢出店

・ 所沢に店舗ができた。所沢駅から歩いて20分くらいという謎の立地に。2回くらい行ってみたが電車で行ったら遠すぎる。そもそも所沢にそれ以外に用ないし。車利用者ターゲットなら当時は八王子店があるし、電車ユーザー狙いなら都内に複数店舗あるし。こんな謎の立地に出店して税金対策か何かかと思っていたらいつの間にか閉店していた。ついでに八王子店まで閉店してしまっていた。以前、八王子に住んでたので個人的に愛着があっただけにこの時点で最近怪しいな、、という思いが強くなる。※ 2019年4月頃。

 

■神宮前店出店

・ 自由が丘店、RJB代官山店がある中で神宮前店に出店。都内一等地に固まりすぎてるなあとは思いつつ、神宮前店以外はスタッフがよく入れ替わる印象を受ける。しかも割と若いスタッフのみの時もあり、黙っていたけどこっちのほうが商品に詳しいこともありまして。フラットヘッド系列に店舗に行く意味としては、こっちが知らないようなプロダクトの魅力を教えてくれるところだったりするので、増える店舗に対して人材がおいついていないなあとは思っていたが、いつの間にかRJB代官山店と自由が丘店はなくなってしまっていた。

余談だが、どこかの店舗スタッフに結構異動多いんすねみたいなこと聞いたら、「ウチ、離職率多いんすよね。特に地方だと給料が、、」的なこと言ってました。フラットヘッドの製品って地方発ブランドだけあってモーターサイクルを意識した世界観も強く、給料安いと自分のライフスタイルにその世界観反映できないですよね、、といった会話をした記憶が。。

 

■販売価格の高騰

ここ何年かでフラットヘッドの製品の価格高騰化は気になっていた。たしか10年くらい前にデニムの3005を購入したときは21,000円くらいだった記憶があるが、今では30,000円くらいで販売されている。当然、背景として製品の拘り、品質を維持するために材料費や人件費の高騰もあるだろうけど、消費者心理としては30,000円のデニムって結構ハードル高い。30,000円でノンウォッシュなら、他も検討しようかと思ってしまう。意外とヤフオクとかだと半額で新品買えちゃうし、自分のサイズ感わかっていたらあえて店舗で買わないなと。

 

個人的にはフラットヘッドの強いこだわりのあるブランド観は非常に魅力を感じている。実際ここ1年で購入した製品は在庫がほとんどなく、予約でほぼはけてしまったようで他店舗から取り寄せてもらったものばかり。生産力が落ちてしまっていたのかもしれないが、事実として根強いファンはいることを十分裏付けているはず。

 

ブランドとしての世界観に共感をもってくれる人が多い一方で、あくまで結果論だがそれを維持、向上していくための経営資源(とくにヒト、モノ)が時代の変化の影響を受けて維持できなかったのかなあと。

 

ブランドができて約25年。直近4年で大きく傾いてしまったことになる。アパレルの業界は低廉化、競争激化など生き残るのは非常に厳しく、フラットヘッドのように拘りを維持するためにはどうしても相対的に販売単価が高くなってしまうブランド観は、今の時流に合わないのかもしれない。

 

それでもいちファンとしては復活とまではいかなくても、このブランドが長く続いてほしいとただただ強く祈るばかり、です。